特設ページ トップへ [nostalgia 《彼》と旅をする20世紀三部作 #1 ロゴ]

[維新派] nostalgia 《彼》と旅をする20世紀三部作

松本雄吉インタビュー

季刊「エス」収録より抜粋 1/4

画像
──野外と劇場では作品の作り方も変わってくると思うのですが、『nostalgia』は平城宮跡での公演を踏まえて作っているのですか。
松本:三、四年かけて「二〇世紀三部作」という三部作を作るんですが、半分は「平城宮跡でやりたい」というのがキッカケなんでね。酒飲みに寝転びに、何回も下見に行きました。
普通に役者が立ってるだけじゃ面白くないからモンスターを立たせたいと思いまして。十メートルくらいのでかい人間がおったら、この場所の空の大きさや向こうに見える生駒山に、お客さんの意識も自然と行くやろうし。それで二〇世紀を一〇〇年間生きた人物を捏造しよう、と。
そういう意味で彼(=モンスター)の二〇世紀の記憶みたいな話になります。一部は最初だから四メートルくらいで、二部になると七、八メートルになって、だんだん大きくして行こうと思ってます。
──最初から『nostalgia』の構想は三部作の中の一つとして出来たんですか。
松本:『nostalgia』というタイトルは早い時期に決めとるんですよ。ただ、このところ一作一作を全力でやり過ぎているので、少しは長生きできるよう一年単位でなく、もう少し長い期間で考えようかと(笑)。
前も「王國三部作」をやりましたけど、今後、海外のツアーも入ってくるので、旅することと作品作りを一体化できへんかなと思いまして。ストーリー的にも時間的にも地理的にも彼が二〇世紀を確認するという。地理的には去年、僕らがツアーで周ったようなコースをあちこち行かそうかと思ってます。
やっぱりブラジルとか、ものすごく面白くてね。日系三世、四世とか移民の人に会って来たんですよ。もう、すごいものを感じて。だから僕らも単に向こうで作品を見せて帰ってくるだけでなく、うまく旅と表現を一体化したいと思っています。
──旅がテーマになったのは、やはりツアーなどの国際的な影響もあってのことですか。
松本:昔から漂流や流浪というテーマは好きやね。言ってみれば芸能自体が放浪芸から始まっていて、僕らなんか現代に生きてるけど定住したいという気持ちと放浪したいという気持ちと半ば矛盾した状態でいるじゃないですか。まぁ現代のマンション暮らしが定住かどうか言うたら、わからないけどね。
「流浪する」という本性みたいなもんは、どこからきてるんだろうなぁ、と。文学的な言葉で言ったら「ビッグバン以来あてどなく旅している者の宿命」みたいなものがあるんか、とか。
だから維新派では、これまでも「漂流」や「流浪」はやってきてるんですけど、今回はモンスターが感じるノスタルジア。役者ともだいぶミーティングを重ねてノスタルジアについて話したんですよ。そうするとマンション生まれで故郷を持っていないメンバーが多いから、「デジャヴのことかなぁ」なんて言うて「来たことがないのに懐かしさを感じる場所に対する人間の感情だ」みたいな。そう考えたらなかなか大きいじゃないか、と。他人の土地を見てもノスタルジアを感じたら良い訳やからね。