[維新派] nostalgia 《彼》と旅をする20世紀三部作
プロダクションノート
美術 黒田 武志 インタビュー 1/3
- ◆美術の作業はどのようなところからスタートしたんですか?
- ◇黒田:『ナツノトビラ』の時は、はじめから松本さんの中でしっかりとした具体的な街、例えばビルが乱立しているといったイメージがあった様なのですが、今回はそういうのが無いところから、本当にザックリとしたプロットを渡されてスタートしました
- その中の「巨人」を中心にすえること、「その巨人(彼)と旅をする。世界を、歴史を、地理を。」と言うのと、幾つかのキーワードから、僕が思うモチーフやイメージ、いろんな国の「巨人伝説」や「100年以上生きた人の伝説」などをレポートにして提出したり、スケッチを見せたりして、まだ具体的なストーリーがない時点から色々やりとりをしていました
- ◆その最初の段階でイメージされたものやモチーフはどんなものですか?
- 黒田:モチーフとしては、“古今東西の地図や海図・文字”とか。
それに、“靴”。これは移動するという意味で。キーワードとしても“靴”は重要かと思いますし、美術として“靴”が出てきても良いんじゃないかなと。
- また、維新派ではよく用いられるけど、“鞄”や“トランク”。旅のイメージとしてね。
- それと、“靴”から発展して“移動手段”というもの。
徒歩 → 馬車 → 船 → 列車 → 自動車 → 飛行船 → 飛行機 → 宇宙船
という移動手段の進化みたいなものをどこかに出したら面白いんじゃないかと、思いました。
- 他には、“写真”。肖像写真とか記念写真。
“写真”って記憶でしょう? それ自体が時間を旅しているイメージがあるんですよ。
今回“《彼》と旅する〜〜”ということで、一緒に彼の記憶を旅する。
“写真”というのは昔の世界を見ることができるモノだから、今、僕らがソレを見ているということは時間を旅しているのと同じ。“写真”を見ることによって昔の時間にパッと戻れるという、タイムマシン的なところがちょっとあると思ったので、モチーフとしていいんじゃないかなと。
これは次の“手紙”にも繋がってきますが、写真自体がすでに旅をしているとも考えられるし。
- そして、“郵便配達夫”。
自分が旅しているのではなくて、手紙自体が世界を旅しているという感覚。
“その旅をしている物質を運ぶ人”っていうのは、何かこうちょっと特別な存在かもしれない?
“自分は旅はできないけど、(手紙の)旅を手伝っている人”。
この場合、手紙にとってすれば、郵便配達夫が“移動手段”になっています。でも、もちろんその郵便配達夫がいないと手紙は旅をすることができないといった関係性。そして、それによって時間や空間がズレていく感じ。そういうのは、僕は好きですね。
- 例えば、プラネタリウムを見に行った際、星の距離の説明について「あの星は何光年先にあって・・・」とかってよくありますよね? 今、見ているあの星は、この瞬間にはもう存在していないかもしれませんよというあれ。そういうことが手紙にも起こり得るのではないか?と。手紙を受け取った時にはその手紙を出した人はもう既に存在していないかも知れない?といったような。いう事は、時間も旅しているようなものでしょ?
そんなイメージもアリかなと。